通信業者に騙され続ける社長にはある特徴があります。現役時代、多くの社長と出会い、お付き合いしてきた中でわかったことです。実は当時はとても悔しい思いもしました。そういう社長を救ってあげられなかった悔しさです。ただ、今だったら救ってあげられるかもしれないなぁとも思います。こんな記事を書いたところで、その人自身が読んでくれるとは思えませんが、誰かの役に立ってくれればと思い、まとめてみます。
私がこれまで見てきた騙される社長の特徴は
この3つがそろうともう100%騙されている社長でした。
悪徳通信業者は、こういった社長を”カモ”とか、”ゆるい社長”、なんて呼んでいます。
腹立ちませんか?
私からすると『未だにそんな営業してるの!?』と思ってしまいますが、
”安くなります”
これは通信業界でず~っと昔から使われているトークです。
使い古されたトークといった方が良いかもしれません。
普通の感覚であれば、過去にそういう話に乗ってしまい失敗したのでもう騙されないぞとなるはずです。
そうして”安くなる詐欺”はなくなっていくというのが世の中の流れではないかと思うのですが.....
でも、なくならないんです。
引っかかってしまう人がいる限り。
このタイプの社長は、安くなると言われると契約してしまいます。
実際にはまったく安くならなくても!です。
つまり、何がどう安くなるのか?はあまり関係ないということです。
興味がないとでも言うのでしょうか.....
『安くなるならいいよ』
ひたすらこれを繰り返しています。
冷静に考えてみてください。
そんなに毎回安くなるなんてことありますか?
絶対にないとは言いませんが、回線契約にしろ、リース契約にしろ、そんなにコロコロ変えて安くなり続けるなんてことはありません。
特にリース契約に関しては早期に替えれば替えるほど月額料金は上がっていきます。
期間を異常に伸ばすなどすれば別ですが。
解決方法はシンプルです。
何がどう安くなるのか?なぜ、どういう仕組みで安くなるのか?
これをキッチリと確認すること、それだけです。
すべて連動している話なのですが、”安くなる”をひたすら妄信してしまう原因がこれです。
『中身は言われてもわからない、安くなるならやる、高くなるならやらない』
一貫してこういうスタンスの社長がいます。
悪い営業マンならどう考えると思いますか?
そうです『あの社長は適当に安くなるって言えばやるから』
ハッキリ言って、そう見られてしまうだけなんです。
別にすべてを疑いましょうという話をしているわけではありません。
それはそれで問題がありますし、第一そんなの悲しすぎますからね。
でもこれは本当に危険なんです。
私も現役時代、こういう社長に何度かお会いしたことがあります。
でも実際にその会社の状況を知り、本当に必要で有益な話をしようとすれば安くなる話ばかりではありません。
もちろんムダはなるべく削る努力はしますし、本当にムダな経費は削減できるに越したことはありません。
多くの社長は真剣に話を聞いてくださり、今までの業者とは違うと判断してくださることで、お付き合いいただくことができました。
そして結果として、業者の都合や詐欺営業で無意味に経費が膨れ上がる地獄のサイクルから救うことができたと思います。
しかし、一貫して『安くならないなら絶対に契約しない』というスタンスの社長もおられました。
こちらとしては安くならならないものは安くなるなんて言えません。
中身についてしっかり話をし、理解してもらおうとしますが、中身はどうでもいいんだ、とにかく安くなればの無限ループになってしまうんです。
残念ですが、そういった社長たちとはお付き合いすることはありませんでした。
時折思い出しては、近くを通ったときに顔を出してみたこともありました。
ただ案の定、前にも増して契約内容はおかしくなっていることがほとんどでした。
必要のない機器が増え、支払い金額も莫大に増え、業者もあちこち入って訳が分からなくなっているのです。
当時の自分ではどうすることもできず、ただただ悔しかったことを昨日のことのように思い出します。
難しいこと、細かいことまで把握する必要はありません。
でも、中身を理解しようとすることは大切です。
あんなに機械が増えて安くなってるはずないんですから.....
これ、ある意味凄いなぁと思ってしまうんですが大問題です。
どれだけ支払いが膨れ上がっていても気が付かないということは、裏を返せばそれだけ支払い能力があるということではありますよね。
そうじゃなければどこかで気付くはずです。
私が最も信じられない光景を見たのはこんなお客さんでした。
もうお客さん自身、何が何だかわからなくなっていました。
初めてとき、見た私はめまいがしてきました。
誰がどんな風にしたらこうなるんだ?と.....
複合機は実際1台しか使っていません。
サーバーはどれが繋がっていて共有フォルダになっているのがどれなのか?わかっていません。
そうこうしているうちにまた別な業者でUTMを契約しようとしています。
電話機は携帯でのやりとりがほとんどでビジネスフォンはあまり使っていません。
そもそもあちこちに電話機があっても社長一人で2回線も受けられません。
もう完全にカオスでした。
私が把握できただけで1ヶ月のリース料金は50万円を優に超えていました。
なんとか救いたいと思いましたが、もう社長自身がわけわからなくなっており、とにかくお金が自動的に口座から引き落とされているという状況でした。
会社の通信経費としていくら払っているのか?もうまったくわかっていないのです。
その状態ではどんな提案を受け契約したとしても、高くなったのか安くなったのかすらもうわかりません。
100歩譲って、安くなるという言葉につられてしまうんだとしても、中身は少しも理解していなくても、毎月会社から出ていく経費さえ把握できていればそんな状況にはなりません。
まずは、毎月の経費の把握は最低限ざっくりでもいいのでしてください。
お読みいただいたように上記の3つの要素はすべて密接に絡み合っているんです。
それは根本原因が一緒だからですね。
逆に言えば、
安くなるという言葉を妄信するのをやめれば事態は変わります。
中身を少しでも理解しようとすれば変わります。
毎月の支払いをちゃんと把握するようになれば変れます。
騙されていることに気付けるようになるからです。
これらができていないと、それだけで悪徳業者から”カモ”と見られ続けるのです。
厳しい言い方かもしれませんが、現実を見ましょう。
相手の言っていることが本当かどうか、少しでも見極められるチカラを身に付けましょう。
最後に、業界で一番まじめな営業マンだった自信のある私が感じた悔しさについてお伝えします。
私は現役営業マン時代、お客さんの現状、そして進もうとされている未来をできる限り正確に確認・分析し、ベストと思える提案をしてきました。
多くのお客様はそれまでの業者との違いに感動してくださり、お付き合いくださることになりました。
そういうお客様とは、立場が変わった今でも長く良いお付き合いをさせて頂いております。
中には話を理解されていなさそうにも関わらず契約しようとしてこられるお客様もいました。
私はそういう際、必ず確認をしていました。
『社長、お申込み頂くのはありがたいですが、本当に意味を理解されてますか?』と。
普通の営業マンはそこで簡単にハンコをもらって帰るのでしょうが、私はそれが嫌でした。
なので、きちっと理解して頂いたことの確認をしてから申し込みを頂いていたんです。
初対面の相手からしたらちょっと変な人だったかもしれません。
でも考えてみてください。
何の理解もされていない状況でただ申し込みを頂いたけど、気づいたらまた別の業者に変わっていた。
意味もわからず契約をもらったところで結果こうなります。
そんなの虚しすぎませんか?
私は自分の仕事に信念を持っていましたし、自分で言うのもなんですが訪問して商談になったお客様はほとんど契約して頂いていました。
でも救えない社長たちもいました。
それは、まじめに話す営業マンの話は全く耳に入らず、悪徳営業マンの話には簡単に乗ってしまうという社長たちでした。
もちろん営業としての私のチカラ不足が原因だったのでしょうが、どうしても合いませんでした。
でもそれって、結果的には悪徳営業マンを育て、悪徳通信会社を儲からせてしまうんですよね。
そして新たな被害者を増やす。
私はそういうサイクルを断ち切りたい。
そう思っています。
長々と思いを綴ってきましたが、あとは信頼できる相談者をつくってほしいですね。
専門の業者に限らず、経営者仲間でもいいです。
とにかく孤独で仲間の少ない社長も狙われやすい傾向があります。
情報が遮断されていて業者の言いなりになってしまうんですね。
悪徳業者からしたら最高の環境になってしまうんです。
とにかく私は私にできる発信をしていきます。
まずは少しずつでもいいので変化していきましょう。
通信業界の鬼退治隊長
神矢 鍛治郎
人の出入りの激しい通信業界歴に10年以上在籍し、努力を重ね出世街道を駆け上がり業界を知り尽くすも、顧客の為に本当にやりたいことと、自分が日々やらなければならない仕事とのギャップをぬぐえず限界を感じ、一線から退く。本当に自分が正しいと思える、社会全体、顧客のためになる新たな道を追求し、奮闘している。