『余計なアダプターが外せるようになりまして.....』これもなかなか使い古された通信系テレアポのアプローチです。なんか余計なアダプターが外せるなら外した方がいいかなってなんとなく思えちゃいますよね。まぁでも、このサイトで他の記事も読んでくださっている方ならもうなんとなくわかっちゃうと思いますが、何のメリットもなくただ親切にムダを省きに来てくれる業者なんて普通に考えてありません。実際、無駄なアダプターを外すという工事自体はありますが、外すためにはお金がかかる場合がほとんどです。だって冷静に考えてみてください。アダプターってそもそも何ですか?それがないとつながらないからアダプターがあるわけですよね?
通信の世界には様々なアダプターが存在します。
例えばターミナルアダプター。
一般にはTA(ティー・エー)と呼ばれるものです。
これはISDNという回線をアナログに変換して接続できるようにするための物です。
電話の主装置等、ISDN対応のものであれば最初からアダプターは必要ありません。
しかし、回線はISDNだけど機器側がアナログ用の主装置だったりすると直接接続ができないわけです。
だからそこに変換アダプターが必要になってくるわけですね。
ISDN回線用、アナログ回線用の主装置しかない中で回線をひかり電話回線にするときも同様です。
2回専用であればPR(一体型ホームゲートウェイ)とかRT、3回線以上であればOGとかVGというアダプターが必要になります。
それがなくせるようになったとはどういうことか?
残念ながら魔法でもない限り、社内の環境を一切変えずに急にアダプターがいらなくなるということはないんです。
つまりこの時点でなんらかの営業があると思っていいんですね。
その営業自体が悪いとは思いません。
実際に古い機器を使い続けることで損している部分もたくさんあると思うからです。
ただ、このアプローチの問題は、あたかもNTT側の環境の変化でムダなものが外せるようになったので点検的に回ってますというように誤解させるような言い回しをしているところでしょう。
これまで必要だったアダプターが要らなくなるということは、それ用の機器に入れ替えるということなわけです。
こまかな注釈を入れるとどこまでも細かくなってしまうので敢えてそれは省きます。
そしてここで知っておきたい大事なこと。
だいたいの場合、電話してきている人はあなたの会社の通信環境をわかってかけているわけではないということです。
極端な言い方をすれば、アダプターの存在しない会社にも同じ電話を軒並みしているということです。
もし、この電話がかかってみたらこう聞いてみてください。
『ウチにあるなんというアダプターが外せるんですか?』
『また、それはなぜ外せるようになったんですか?』と。
まともに答えられる人はそう多くないと思いますが、中には適当な返しをしてくる会社もあるかもしれません。
もし、本当に把握していそうなら、何らかの理由で一度来てあなたの会社の通信環境を見たことがある会社でしょう。
いずれにせよ、上のふたつめの質問が重要です。
ただで勝手に外していい状況になってお金がやすくなるということは基本ありません。
そういう電話の意図することはそういうことなんだということはまず覚えておいてください。
その知識、感覚、常識があれば簡単には騙されなくなります。
通信業界の鬼退治隊長
神矢 鍛治郎
人の出入りの激しい通信業界歴に10年以上在籍し、努力を重ね出世街道を駆け上がり業界を知り尽くすも、顧客の為に本当にやりたいことと、自分が日々やらなければならない仕事とのギャップをぬぐえず限界を感じ、一線から退く。本当に自分が正しいと思える、社会全体、顧客のためになる新たな道を追求し、奮闘している。